今回インタビューしたのは、静岡県・焼津にある水産加工会社、 株式会社南食品 の本社工場長兼通信販売部・柴山眞吾氏。スキイキを利用して外部人材を活用した背景から、人材とのマッチングの決め手、実際に協働してみてわかったことなどをお伺いしました。EC立ち上げとBtoC向け商品開発でプロの視点が欲しかった!― 株式会社南食品はどのような事業に取り組まれているのですか?冷凍の水産加工業が主な事業です。自社船を何隻か保有しており、一貫体制の形で、鰹のたたきとネギトロなどマグロの冷凍品を扱っています。「ねり節」と言って、鰹の出汁の素となるものなども作っています。焼津市内に本社工場と第一工場、藤守工場があり、第一工場では一次加工を担っており、カツオのロイン加工と一部冷蔵庫業を行い、藤守工場は主に冷蔵庫業とマグロの加工など、本社工場では二次加工という形で鰹のたたき、ネギトロ、ねり節といったものを作っています。工場で作っているものは、市場や大手スーパーなど、法人向けに販売する商品がほとんどです。― どのような課題があって人材を探すことになったのか教えてください。当社は、主に大量生産という形で大きなスーパーや市場に卸していましたので、お客様の数にも限りがあります。そこで新たに、一般消費者のお客さんへ目を向ける必要があると考えました。はじめはEC販売というより、新商品開発を中心に考えていました。5年ほど前に社員だけで商品開発を始めましたが、全然前に進まず、ある程度行ってはまた戻ってを繰り返して形にならなかった経験がありました。そこで、今後のことも考え、ECサイトの仕組みも併せて戦略的に作った方がよいと思い、プロフェッショナルの力を借りて、より有意義なものを作っていこうと取り組み始めました。自社にピッタリの人材と出会うため「スキイキ」カスタマーサクセスにも相談!― そもそも「フリーランス」や「副業」には馴染みがあったのでしょうか?もともと、「フリーランス」や「外部人材」という言葉は聞いたことはありましたが、詳しいことまでは知りませんでした。今回は副業という形での募集でしたので、「本業がある方が副業でどの程度までやってくれるのかな」という不安は感じていました。― 正社員募集などの選択肢はあったと思いますが、なぜ外部人材を活用しようと思ったのでしょうか?地元で正社員の募集はしていたのですが、求める人材になかなか出会えませんでした。水産会社を志望する人材が多くないというのもありますし、こちらも明確にビジョンが決まっているわけでもなかったので、必ずしも正社員の採用でなくても良いかもしれないとも思うようになりました。これまで新しいことにチャレンジする際には、社員のみでやることが多く、第三者に力を借りるアイデアはあまりなかったのですが、商品開発の部分で何度かチャレンジしては上手くいかなかったことを考えると、外部人材に入ってもらう形を選びました。― ECサイト立ち上げが、2ヶ月という短期間で実現したポイントは何だったのでしょうか?ECサイトでの販売を2ヶ月でスタートできたのは、外部人材の上田さんにスケジュール表や比較表などの資料を作成してもらったことが大きかったのではないかと思います。実際にECサイトを制作するにあたって、さまざまなプラットフォームからどれを選べば良いか迷っていたところ、自分たちでも簡単に運営できそうなサービスはどれか、上田さんからアドバイスをもらい決めることができました。こまかいタスクも、上田さんから提案いただいたスケジュール表に間に合わせようという形で取り組みました。操作方法がわからない画面などが出てきた際は、遠隔で教えてもらいながら、二人三脚で進めていくことでオープンすることができました。― 上田さんとマッチングするまでの経緯を教えていただけますか?スキイキで募集掲載をして、1ヶ月弱くらいの間に67人ほど応募が来ていました。カスタマーサクセスの方にある程度絞ってもらい、5人の方と面談をしました。2次面談は2人。最終面談は、社長も参加して応募者の方と話をしました。様々なタイプの人材と話した中で、話に落ち着きがあって、私たちに目線を合わせてくれそうだったのが上田さんです。おせちのECサイトの経験があったので、食品関連かつ、おせちという中身を色々考えたりする部分が合っているのではないかと考え、面談をしました。最初の面談は、「お魚好きですか?」みたいな質問をかけたりと、気軽な感じで行いました。当社は魚を使っているので、魚に興味があるかという部分は気になりますね。新商品開発というアイデア出しの面では、購買層に近い女性の方がいいのかなと思った部分もありましたが、やはりスキル面で一番合っている方と協働したいと考え、上田さんに決めました。社内のメンバーを考えた時に、40〜50代が多いので、ベテランの方という安心感も一要素としてありました。― 外部人材が参画して、今はどのような体制で協働しているのでしょうか?初めのうちは週に1回リモートで状況を伝えて、自社の課題を洗い出してもらいました。ECサイトをオープンしてからは、2週間に1回程度で状況を共有しながら、また課題と解決方法を一緒に考えて行くような形で進めています。ECサイトに関わっているのは、通信販売部3名、開発部6名、商品開発部2名です。通信販売部3名と商品開発部2名は他の業務と兼務しているので、全員でまとまったミーティングをするということはありませんが、私と上田さんとはリモートでコミュニケーションを取りながら、課題を一緒に考えていっています。― リモート会議でコミュニケーションに課題を感じたり、難しかった点はありますか?リモートに関して、特別難しいと思っていたわけではありませんが、実際に会えないというのは気になっていました。その点、上田さんは本当に親身になって教えてくれているので、非常に良かったです。困難を乗り越えたとか、ハードルが高かったという感じはしていません。ビデオ会議では表情も見れますし、資料も共有できますし、課題を与えてもらったり、質問を投げかけたり気軽にできたので、特に悩みなどはありませんでした。やって良かったなと思います。社内や工場のメンバーとはまだ直接会ったことはないので、今後新商品開発となった際には、顔を合わせるのが楽しみですね。― ECサイトオープン後に課題に感じていることはありますか?まだまだ目標よりも購入者が少ないことや、どのようにしたらお客さんが買ってくれるようなページにできるかが直近の課題です。上田さんと一緒になって考えているところです。今販売している商品は、EC販売をするに当たって既存商品を一般消費者向けに組み合わせたもので、鰹のたたきは背中と腹の部分の食べ比べセットとして800gほどの商品を販売しています。今後は、よりお客様のニーズに合わせて商品を組み合わせたりしながら、切り替えて行かなければと考えています。小ロットのものが難しいという課題もありましたが、まずはやってみようという形で進めています。外部人材活用のカギは「やってみよう」という一歩!課題の棚卸しも重要◎― 今振り返ってみて、外部人材の活用が上手くいった理由は何だと思いますか?当社は、もともと「やってみよう」という風習があって、やってみなければわからない、何をやるにしてもとにかくチャレンジしてみようという意識が強いと思います。なので、「まあ、やってダメならしょうがない」ということで、始められたというところもあると思います。私たちは、鰹のたたきの他にも生マグロ、エビの加工などもやっていました。他のものと選別して、凍結して、ピラフのようなものを委託されて作ったり、寿司ネタを手作りでやったり、うなぎも素人ながらに取り組んだりしたこともありました。また、超低温冷凍庫のある工場は人がリフトを使って荷物を出したり降ろしたりするのですが、当社の第一工場では全てコンピューター制御になっており、工場内に人が入って作業することはほとんどありません。実は、日本で初めて超低温で自動化した会社なのです。現会長が「日本で初めて」というのが好きなもので、とにかくチャレンジをしています(笑)― 今後も、外部人材活用を続けていきたいと思いますか?新商品開発に少し行き詰まっている部分があるので、また新しく外部人材の方に来てもらって、頼ってみようかなという思いはあります。外部人材の方は、色々な角度から見ることができるというのは強いですね。自分達だけだと固定観念に縛られてしまう部分があるので、ちょっと頭が柔らかくて、様々な角度から見ていただける方が商品開発にはいいかと思います。幅広い経験をしている方にアドバイスをもらう形で今後も進めていきたいと考えています。― 今後力を入れていきたいこと、今積極的に取り組んでいることはありますか?今はとにかく、ECサイトの仕組みをしっかりと作って、その上で新商品を売っていこうという方向で進んでいますね。他には、色々なイベントに協賛したりして、名前を覚えてもらえるように意識しています。私たちは小さな会社なので、まずは名前を覚えてもらうことが、売上や人材獲得に繋がると考えています。― 最後に、外部人材活用を検討している方へのメッセージをお願いします。今、自分達がどのようなことをしたいのかを把握して、それに合う方がいれば力を借りてやっていけば、結構上手くいくんじゃないかと思います。相手とコミュニケーションをきちんととって、自分達のこうしたい、ああしたいという要望をしっかり伝えれば、答えは返ってくるのではないでしょうか。まずは、「やってみて、ダメだったらしょうがない」とスピード感を持って一歩踏み出すことが大切になってくると思います。