今回インタビューしたのは、ワークプレイスの検索・予約ができるサービス『Suup』を提供する Moon Creative Lab の堀口 翔平氏。堀口氏以外は業務委託の人材だというプロジェクトチーム。スキイキを利用して外部人材を活用した背景から、人材活用をする上で重視しているポイント、チームメンバーと協働する中で工夫している点などをお伺いしました。外部人材を柔軟に活用しながらサービス拡大を目指しているチームだからこそ感じる、事業課題解決のための考え方やスキイキの魅力・効果的な活用法についてもお尋ねしたので、ぜひ参考にしながらご覧いただければと思います。Suup立ち上げ〜拡大まで事業フェーズに合わせてフレキシブルにチームを編成!― 堀口さんが取り組まれている事業・プロジェクトについて教えてください。今『Suup』という、簡単に言うとワークプレイス版の「Airbnb」のようなサービスを提供する事業に取り組んでいます。テレワークの世の中では、テレワークをしたい人はたくさんいますが、様々な理由で家だとなかなか集中して働けない方がいる一方、コワーキングスペースが都心に一極集中で、ほとんどが港区・渋谷区・新宿区ばかりにあるので、家の近くにはないという課題があります。そこで、特にエンタープライズ企業の遊休スペースをテクノロジーを活用し、無人のコワーキングスペースに変えるというようなサービスを提供しています。例えば、鉄道会社では 駅構内に元々あった定期券売り場がオンラインでも買えるためにもういらなくなっているので、そこを作業ができるスペースに無人で変えることによって、鉄道利用者の駅の利便性を向上させたり、そこでの売り上げ向上に繋げたりしています。最近では、小売企業からの引き合いが多く、店内スペースが少し広すぎたり、3フロアを借りているものの1フロアがずっと空いてしまっていたりした場合に、無人でコワーキングに変えるなどのお話が結構多いですね。― サービス運営体制はどのようにしているのですか?チーム体制で言えば、正社員は私1人で、あとは全員業務委託です。1人ひとりがずっと働いている(フルタイム)なわけではなくて、副業の方や月10時間ぐらいの方もいるので、そういう方も含めて10人ぐらいです。フェーズによって職種の構成などは異なりますが、開発をメインに取り組んでいた時期は、エンジニアやデザイナーが多かったですね。今はもう開発は落ち着いたので、 事業開発は基本私1人で、あとは営業メンバーが何人かいる形です。『Suup』のクライアントが法人のため、基本的にはセールス起点のサービスになっており、今は営業のメンバーが多い体制です。― そもそも、どういった経緯で事業を立ち上げたのでしょうか?『Suup』は、Moon Creative Labという会社として運営しています。グローバルで4万4000の人とアイディアが集まって、新しいビジネスを作っていく三井物産グループのインキュベーション組織がMoon Creative Labです。この組織の中に、15個くらいのプロジェクトがあり、その中の1つが『Suup』という事業です。元々、三井物産がMoon Creative Labを作り、定期的に全世界からアイデアを募って、いいアイデアを選ぶというピッチイベントを開催しています。私は第1回の時に応募して合格し、そこから事業開発へとつながりました。― 事業アイデアの検討段階から、チーム体制のことも考えていたのですか?業務委託を選択肢に入れていた理由を教えてください。Moon Creative Lab内にもプロはいますが、全てのプロジェクトに社員をアサインすることはできないので、外部でフリーランスの方を見つけることを前提としてプロジェクト運営をしています。私の考え方になりますが、チームは柔軟に変えていく必要があると思っています。これまでもそうでしたが、色々なアイデアを考えて仮説に基づいてAという選択肢を取ったとしても、必ずしもうまくいかないこともあります。その後に、Bの選択肢を取ろうとすると、Aの選択肢を取った際には活躍していても、Bではスキルが合わなくなってくる人も出てきます。なので、これまでも事業で必要なタレントやスキルに合わせてチームをフレキシブルに変えてきたところがあるので、業務委託の方々で構成するのがすごく良かったと思います。スキイキでは、リソースを補うため、そして知見を得る目的で2回募集を行い、外部人材活用をしています。外部人材活用前に押さえておきたい!「事業課題の解決」から始まる人材募集の考え方― 外部人材活用の検討段階で意識している点や、前提となる考え方があれば聞かせてください。主体性や意欲、前のめりさなどの部分でしょうか。外部人材活用も色々なパターンがあると思うのですが、必要なことだけやってほしい時と、「そういえばこんなことがあったのですが」と普段から気にしてくれているのが助かる時とがあります。特に、事業開発や営業の場合は、そういった前のめりさがある関係性を作れるといいなと考えています。私自身、そもそも『Suup』で働くことがどれくらいその人にとって価値があるのかという部分を大事にしています。その価値が感じられない場合には、職種によってはアサインしないこともありますし、逆にキャリアは長くないものの、この人にとって成長機会に繋がったり、コミットしてくれそうだと感じられる人を選ぶこともあります。契約した後も、何かをお願いする際に、業務単位というよりも解決したい課題として相談し、それが解決されるとどんなメリットがあるのかを伝えるなど、やる気を持ってもらえるように意識しています。もちろんこれは難しいと思うこともありますが、私たち次第なところはある気がします。依頼する側が「これだけやってくれればそれでいいです」という姿勢だと、人材の方もそのような風になると思います。― そのような考えを持つようになった背景には、何があるのでしょうか?もちろん、お願いしていること以外にも気づいてほしい、あるいは提案してほしいという思いもありますが、一番は主体性や意欲、前のめりさによって、最後のクオリティに差が出ると考えているからです。営業で言えば「残りの0.5%を努力できるかどうか」で成果に大きな差がつくという三木谷曲線という考え方がありますが、私はその部分が結構あると実感しています。「とりあえずこれをやればいい」ではなく、「少しでも可能性を上げるために」という細やかな努力や気遣いで差が生まれるのではないかと思っています。― 外部人材を募集する段階で、アサインの基準などはあるのでしょうか?募集の段階では、正直できるだけ網を広くしておきたいと考えてます。明確に基準を決めてしまうと面談せずに終わってしまう場合もあるので、基準は設けず、一旦はスキルや経験ベースで面談したい方を決めて、面談の際に感じる前のめり感を見るというところの方が大きいです。また、人材募集する時は「こういう人が欲しい」が出発点ではなくて、「事業課題があって、これを解決したい」から始まると思っています。だから、1人こういう人を採用したいというよりは、例えば面談した人が40時間稼働できず、20時間の場合には、もう20時間やってくれる人を探そうとなったり、たまたま面談した人から、当初は想定していなかった解決方法を提案していただいた場合にも「それならこの方法でこの人にお願いしよう」となることもあります。そのため基本的には、面談する一人ひとりに対して「こういう場面で、こういう時に活躍できるんじゃないか」という活用方法を探しており、採用する・しないという2択では考えてはいません。― スキイキを活用して募集した際に、印象的だったことはありますか?募集開始時の業務要件とマッチしない方を指名し、『スキイキ』のカスタマーサクセス担当者の方に驚かれたこともありましたが、自分の勘を信じて面談してみると、やっぱり気になると感じ、契約に至ったケースもありました。私はHRのプロではないので、必ずしも100%言語化できておらず、「こういう人が欲しい」という中には抽象的な部分もあって、それをカスタマーサクセスの方に伝えることでアドバイスをもらい、ギャップを埋めていったのだと思います。だんだん慣れてくると、 言語化が上手になってきて、ソーシングしやすくなってきてるような気がしますが、初期は本当に全然わからなかったので、何となくでお伝えしていました。信頼関係やコミュニケーションが仕事の姿勢とリンク!外部人材と協働する際の工夫とは?― 新規メンバーアサインの最終決定前に、既に協業している業務委託のメンバーに確認などはするのですか?人によって異なりますね。例えばセールスの場合、マネージャーポジションの方も副業人材なので、その方に必ず共有してオッケーか聞いてみる形にはしています。マネージャー以外のメンバーへの確認はしていませんが、マネジメントする立場の方にはできるだけ業務のみではなく課題ごとお渡ししたいので、特に営業や開発は気持ちよく主体的に動いてもらえるよう、オッケーかどうかの部分は必ずチェックしています。― アサイン後に、面談の時とのギャップを感じることはありますか?良いギャップで言えば、思った以上に前のめりで色々やってくれたり、「こういうのもやりたいんですけど、いいですか?」という提案があったりしたのは多々あります。そういった部分は、やはり最終的には一緒に働き始めてみないとわからないところでもあるので、お互いのマッチングがうまくいかない場合にも同様に言えますが、こちらの協働時の工夫も欠かせないですね。― 外部人材活用を継続していく中で、意識している点や工夫はどんなことでしょうか?何より、信頼関係は一番大事にしています。私の個性なのかもしれないですが、業務委託でお願いしているから、業務だけの関係とはあまり思ってはいなくて、その人自身に興味を持っています。それによって、『Suup』で働くことがその人にとってどんな意義を持つのかもわかってくると思います。相手は人なので、例えば仕事のことだけじゃなくてプライベートのことも、深掘りするわけではないですが「花粉症は大丈夫ですか?」くらいの雑談はしてみたりなど、人と人とのコミュニケーションは意識しています。業務委託に限らずですが、特にリモートワークの中で会ったこともない人もまだいる中で、契約形態が何であれ信頼関係や人同士のコミュニケーションはすごく大事にしていますね。それが結局、やる気や親しみ、愛着を持って働いてもらうことにつながりますし、私もそれが心地良いと思っています。メンバーの中にもコミュニケーションを積極的にとる方がいて、チームの雰囲気が良いと感じることがありますね。この間は「うちの観葉植物が枯れちゃって」というような雑談があったり(笑)業務とは直接関係ないですが、そういうコミュニケーションがチームの一体感を出したりするので、特にリモートワークの際は、会議の時は会議に集中して、終わった後に話をすればいいと思います。業界経験×信頼×スピーディーな動き?スキイキ活用で出会えた人材の特徴とは― スキイキを知ったきっかけは何だったのでしょうか?確か『オンリーストーリー』という決裁者限定のマッチングサービスで、スキイキの光川さんと繋がりを持ち、新しいサービス同士でお互いに紹介し合いましょうという話になったのが最初です。― スキイキを活用して感じたメリットはどのような点でしょうか?外部人材活用経験があるからこその気づきがあれば教えてください。募集の掲載ごとにかかる費用が無いのは魅力ですね。とにかく募集を出して、たくさん応募が来て、その中から面談し放題という活用方法になるんです。結果的に何人選んでも固定コストが増えるわけでもなく、契約ごとに稼働してもらう分の報酬・コストが発生するので、まずは課題ベースで募集を出しておいて、良さそうな人がいれば適宜面談など進めていくという使い方ができるのはすごくありがたいですね。媒体が様々ある中で比較検討もしますが、『スキイキ』の場合はそうした余裕を持った募集ができて、そこで適任の人材とマッチングできれば協働していけばいい、というスタンスがうちには合っていますね。募集内容や条件によってはもう少し比較したいこともあるので、その場合は他のサービスも並行して活用します。― 複数の職種の人材を活用した中で、スキイキならではの良さを感じたことはありましたか?今まで面談した中で言えば、『スキイキ』という言葉からもわかるように、単純にフリーランスというよりも、 正社員で働いていて副業を探したいような人が多いような印象を持っています。例えば、正社員として採用したり、月に80時間業務委託で稼働してもらったりするのは難しいですが、副業ならこういうのやりたいと考えているような人のちょっと空いた時間を使って稼働してもらえる、というようなイメージを持っています。本業でしっかり活躍されていて、『Suup』でもこういうシナジーで活躍できるというような、具体的に言えば30代くらいのある程度経験を持った人が『スキイキ』にはよくいる印象です。50代くらいの経験豊富な方に多い顧問のような立ち位置ではなく、かといって20代の経験がまだ浅い感じでもなく、ちょうど業界での経験が培われてきて、信頼もでき、スピーディーに動けるような30〜40代くらいの方々がちょうどボリューム層のような気がしています。余談になりますが、スキイキに登録している方のマインドセットと、『Suup』が実現したい世界観が似てるところもあるような気がしています。パラレルキャリアや、働き方の自由のようなカルチャーを浸透させていくところで一致している部分があると思うので、そういう意味でも『Suup』のビジョンに共感して来ていただける方も多く、そこもすごくありがたいと感じています。― 今後はどのようなフェーズでスキイキを利用して人材活用をするのですか?事業課題ベースで変わってくるとは思います。新しい課題が出てきてどう解決しようかという時に、がっつり誰かにお願いしたい場合は、もはや個人ではなく、会社に業務委託した方が良いという判断も出てくる一方で、経験もあって稼働もしてくれるみたいな人が欲しい場合もあるでしょう。そのような時はスキイキをこれからも活用するだろうなと思います。特に『Suup』はセールスが今大事なところになっています。大企業だけではなく、様々な企業の空きスペース活用のお役に立てると思っている中で、様々なネットワークの中に入り込んで提案するフットワークの軽さなどは、『Suup』のサービスを世の中に広げていく上でもすごく重要なので、今後も人材の部分は肝になると考えています。※記事内の情報は、取材実施時のものです。『Suup』の運営は、2023年11月末時点で、イトーキシェアードバリューへと変更されています。