今回インタビューしたのは、2024年で創業100年目を迎えるIT企業、 日本事務器株式会社 の事業戦略本部・高松克彦氏。戦略検討・検証の積み重ねが重要な新規事業を手掛ける上で、当社が再委託型支援(現:スキイキProSelecrtion)のタッグを組ませていただき、スキイキ事業責任者の光川がプロジェクトマネジメントをサポートしながら複数名のプロ人材をアサイン・チーム化するスタイルで拡販活動に取り組まれています。実際にプロジェクトにアサインされているプロ人材・米森氏も同席のもと、どのような課題解決のためにプロ人材をチームビルディングに取れ入れたか、またPMサポートも含んだ再委託型支援ならではの魅力、協働時の様子などをおうかがいしましたので参考にしてみてください。社会性が強く、新たな販売モデルで取り組む新規事業でプロ人材の活用に着手― まずは貴社の概要について簡単に教えてください。高松さん: 弊社、日本事務器株式会社は、今年で創業100年目を迎えるIT企業です。 創業以来一貫して、お客様の事務の効率化・省力化について、その時々のサービスやプロダクトをご提供しています。昭和40年代頃からコンピューター事業を営んでおります。今でいうSIerとして認知されており、お客様が困っていることをITで解決をするため、自社製品だけではなく他社製品も含めトータルサポートするのが弊社です。― 今回、プロ人材の力を活用した事業についても教えてください。高松さん: 現在、『fudoloop』(フードループ)という新たなサービスに取り組んでいます。農家と市場・青果卸をつなぎ、「出荷予測の精度向上」「数値の見える化」」「価格の安定化と販路拡大」「コミュニケーションの効率化」 などを実現するデジタルアプリケーションです。弊社の強みとして食産業にゆかりのあるお客様が多いという背景があり、掘り下げていくと、 「そもそも生産しても儲からない」「安値で買い叩かれやすい」 といった背景が影響して生産者さんが年々減ってきているという状況にあり、農業を行なっている親世代は、子供世代に継いでほしいとあまり考えられていないために廃業するという負の連鎖につながっていることがわかりました。そこで、農家の方々が適切な対価を確保できるよう、適正な価格で販売できる環境があれば持続可能性が高まるのではと構想し、サービスを開発・運営しています。SIerとして製品を導入型で提供してきましたが、『fudoloop』はソフトウェアをクラウド上で提供するSaaSという利用型のサービスとなっています。マイナビとの契約ひとつで、職種・人数不問で即戦力人材を柔軟にアサインしてチーム構築― どのような事業課題に直面していたのでしょうか。高松さん: 当時、導入ユーザーの拡大に向けて、販売を強化していくフェーズに入っていく必要がありました。単に潜在顧客を見つけるリード獲得施策は出来る人はいるし、いわゆる最終的な成約のためのクロージングセールスも問題ない。ただ、まずは当サービスに興味があるという潜在ニーズの状態から、具体的に導入を検討しようという顕在ニーズ化までの期間が想定より長くなりやすいという課題が大きくありました。そのため、そうした潜在顧客育成(リードナーチャリング)の観点を含んだインサイドセールスとして、単にプロダクトの訴求だけではなくお客様とコミュニケーションを取りながらその課題を徐々に紐解き解決に導いていくことができる体制が必要でした。― 課題解消に向けて、再委託型のプロ人材活用に踏み出した経緯はどんなものでしたか。高松さん: こうした事業課題をしっかり理解いただき、本質的な課題にフォーカスして仕事ができるハイスキルな人材が欠かせないということで、副業・兼業などのプロ人材という形態の活用が合ってるかもしれないということで、付き合いのあった『マイナビ農業』の方からスキイキ事業部門を紹介いただいたというのがきっかけになりました。話を聞いてみると、その価値はよく理解でき、無駄なコストも省きながら業務量・成果にコミットしながら即戦力を活かせるのはいいなと思いました。ただ、基本のプラットフォーム型のサービスとしてご案内いただいたのですが、自分たちでそうしたプロフェッショナルを採用するような募集を出したり人材選定をする経験が少なく不安だったのと、弊社内のルールとして個人事業主の方と一人ひとり個別の契約・取引をするのも難しかったんです。そんな中、事業責任者の光川さんから直接、再委託型の支援としてサポートするというご提案をいただきました。マイナビさんのフィルターを通してしっかりプロ人材の稼働をコントロールしてもらえるし、各人材と個別ではなくマイナビさんとの契約に集約して取り組める上、採用のプロなので募集や選定もお任せしても大丈夫。さらに加えて、 今抱えているインサイドセールスの課題に対して、カスタマージャーニーとして様々なアプローチ案なども提案可能とのことで、コアな部分から全面的にプロジェクトマネジメントのサポートもしていただけるというご提案で合意に至りました。したがって、あくまで課題ベースで、運営体制として不足しているリソースや強化すべき観点の推進を、部分部分フレキシブルに補強しながら併走していきましょうという座組で取り組み始めました。― 即戦力を活かした課題解決という点では、通常の経験者採用との違いもありましたか。高松さん: マイナビさんには『マイナビ転職』など他の採用ソリューションもあってそれも考えましたが、かけるべきリソースとコストの集中という観点で、プロ人材の活用に興味を持ち始めました。当時の状況では、フルタイムでインサイドセールス専任者を1人雇用するというのはリソース過剰になります。事業運営の規模感や業務量から考えると常にタスクがあるような状況は想定できませんでしたし、本質的にはマーケティング領域の深いところに根ざした課題でもあるので、単に事務員のような方を派遣でお願いして新たにスキルを磨いてもらうより、スキルの高いプロ人材という存在が適していました。そのとき最も改善すべきことが明確でしたし、状況が少し変わればインサイドセールス以外の業務でピンポイントに補強しなければいけないことも出てくると思っていたので、フレキシブルに体制を構築して併走してもらえるというところが大きかったように感じます。事業主とプロ人材の間に立ち、プロジェクトを最適な形で運営してくためのマネジメントサポート― 再委託型のプロ人材活用体制にはどのようなメリットを実感していますか。高松さん: プロジェクトチームは自社で主体的に進める形ではありますが、その推進を光川さんにPMサポートしてもらいつつ、米森さんなどのプロ人材の方々の業務として具体的にブレイクダウンしていただき、オリエンテーション・稼働指揮を担ってもらっています。この、我々とプロ人材の方々の間に立ってもらい、両側とコミュニケーションを取りながらプロジェクト運営を最適化してくれるというところが非常に大きいと思います。誰がどのタスクを持ってどう進めましょうというのが曖昧になりづらく、プロの力を最もよく引き出してもらえるような進行管理も確実に上手いです。どれだけハイスキルで優秀な人材がいても、同じ方向を向くことが不十分だと結局良い形にはならないということを改めて痛感します。急がば回れといいますか、事業背景や課題状況などをはじめ前提となる部分のすり合わせがずれないようになると、色々なことがスムーズに回りやすい。単に「あれができる人が欲しい」「これを手間かけず頼みたい」みたいな感覚だけで即戦力の人材に依存しても、有効に活かせないし、コミュニケーションを疎かにすればするほど結局その後に皺寄せがいき、トータルコストが辛くなってきます。― 社員の方もいるチームの中で、プロ人材ならではの魅力や特性を感じることもありますか。高松さん: シンプルに、モチベーションの高さというのを実感することはありますね。我々は不十分なところを補強してもらいながら学んでいきたいし、プロ人材の方もスキルアップや経験値向上につながるよう前向きに取り組んでいただけているので、ベクトルが合って相乗効果になっているような感覚はあります。もちろん、雇用社員など別の形態でも前向きな人材はいますが、状況によりけりだったりもしますし、プロ人材の方の場合はそこがまずしっかりベースになっているという印象ですね。米森さん: 参画させてもらうプロ人材側としても、やはり本業とはまた違う環境だという実感はありますね。皆さんそれぞれが各自の守備範囲にコミットし合っているので、曖昧なまま進んでしまったり担務がだらしなくなってしまうことがなく、私自身も役割やタスク、貢献しなければいけない観点などがはっきりしているので仕事しやすいです。また、日本事務器さんのスタンスや、光川さんがいてくれることもあって、チームで誰とでもコミュニケーションを取りやすいので、あまり不安を持ちながらやっているような状況にもなりませんね。― 結果を納品だけしてもらえればいいという、外注的なチームビルディングや業務設計とは異なるポイントがあるのでしょうか。高松さん: 2017年に新規プロダクトを生み出す事業部門が発足した時から、基本的に事業開発・運営においてプロセスを大切にするということを重視しています。もちろん結果も重要でそこが最終目標になるとは思うのですが、それと同時に、外注先などステークホルダーに丸投げして結果だけ求める関係や、自分たちが特にどこの領域を責任もって自走しなくてはならないのかわからなくなるような状態は避けなければいけないと考えています。そのためには、仮説検証の視点を含む仮定段階で、社内外を問わずしっかり密に併走できる運営体制が重要です。本当に単純なピンポイントのタスクを外注して補うこともありますが、長きにわたって良いパートナーとなれる関係をつくるにはそれだけでは不十分ですよね。 その点、こうしたプロ人材の方々を招いた新たな座組では、全員での定例ミーティングなども通してしっかり業務の進捗や要点、考えていることが可視化されフィードバックし合えるのが魅力です。現在の『fudoloop』のようなSaaS型サービスであれば尚更、プロダクトの機能やサポート含め、あらゆるセクションを通して可能な限り顧客体験をアップデートし続けていかなければならないので、関係者が分断されすぎない体制というのは貴重です。米森さん: マイナビさんとは違う会社のマッチングサービス経由で、企業と契約して副業していたこともあるのですが、あまりうまくやれた自信は無かったです。登録して募集を探して応募して、個別に企業と契約・業務稼働した後は報酬が支払われるだけで、それ以外にさしたるサポート等はなく、本当につなぐだけのプラットフォームという感じだったので、それに比べるとかなり働きやすい仕組みだと実感しています。稼働が始まったときも、ほぼ急にセールス丸投げされただけで、何のためにどう業務すればいいのか、自分の役割や存在意義が事業にとってどうなのかも、何もわからず、結果的に長続きもしませんでした。なので、先ほど高松さんも言われていたように、考えていることの背景や過程などについてもフラットにコミュニケーションが取れ、かつ光川さんのような中立的なPMポジションの人がいながら関わり合えるというのは、単に心理的に楽というだけではなく、業務パフォーマンスにも影響していると思います。常に自社の状況にパーソナライズされた、最適な人員体制をつくれるという再委託型の魅力― 今後もプロ人材活用体制を続けていく展望があれば教えてください。高松さん: 今後『fudoloop』は、顧客ニーズごとに合わせた“勝ちパターン”を一層精査していかなければいけないフェーズに進んでいくと思います。その時に、また注力して補強すべき領域が変わってくるはずなので、その時々に合わせて、またどんな人員体制が良いかディスカッションしながら末永くご一緒させていただけるのではないかなと考えています。今も、こんな悩み相談をしていいのかないうことを光川さんに聞いたりしてしまうのですが、何でも聞いてくれて、できることとできないこと、できるならどうやって解決するのかなど話していただけるので、PMサポートというものの大きさを実感しています。それがあるからこそ、状況が変わっても併走してもらえるという期待・信頼が持てますね。― 最後に、状況にあわせ課題解決に適した体制を上手につくる秘訣を教えてください!高松さん: 先ほど、プロセスを大切にしないといけないという話も出ましたが、良いことも悪いことも再現性を見定められるかどうかというのが、プロダクトだけではなく体制づくりにおいても重要だと思います。私たちは、「自分の問題を自分で言語化できる能力は備わってないといけない」という言い方をします。自らの実態や課題認識を勘違いしていたり、しっかり他人に説明できるくらい棚卸しできていないと、どういう方法でどんな人を招いて何をどのくらいやってもらうべきか等、そうした選択を見誤ってしまいます。そうした視点を疎かにしていなければ、『スキイキ ProSelection』のような再委託型のチームビルディング支援は、最も自社にあった体制をクリティカルに組み立てられ持続的に活用しやすいソリューションではないでしょうか。