静岡県袋井市にISO9001・14001認証の自社工場を有し、ポーラ・オルビスグループの各ブランドの基盤研究及び開発・製造を展開しているポーラ化成工業様は、品質トラブルを機に「組織づくり」について改めて検討し、2018年夏にマイナビ顧問を導入。その後、3年半の道のりの中で大きな成果を挙げています。人事部の小林様とY顧問に、マイナビ顧問導入に至る経緯や導入後のエピソードをお聞きしました。従業員の意識と行動を変えるために――経営者が下したある決断― 顧問導入を検討されたきっかけを教えてください。小林様: 当社は、ポーラ・オルビスホールディングスの事業会社として、ポーラ・オルビスグループが展開する各ブランドの基盤研究・開発・生産を主に担っています。常に品質管理や安全管理を徹底して行ってきましたが、生産工場において品質トラブルが発生したことから、顧問導入を検討するようになりました。従業員一人ひとりの意識と行動を変えていく必要があると考えたのです。そこでマイナビ顧問に相談し、Y顧問を紹介していただきました。Y顧問: 代表取締役社長の釘丸さんから相談をいただいた時、彼は課題意識を強く持っていることに気づきました。おそらく、今後の経営戦略を見据えたうえでのご判断だったのでしょう。社長が描いている「会社のあるべき姿」を実現できるような、強い組織を作ることが、私の役割だと受け止めました。― 導入後、最初に行ったことは?小林様: 2018年の8月末にキックオフミーティングを行い、研究・開発・生産・間接の4部門からメンバーを集め、私も含めて10名のチームを結成。その後、半年間にわたって、「ポーラ化成工業をどうしていきたいのか」を徹底的に話し合いました。何度も話し合いを重ねながら意見をまとめていき、「各部門で何をすべきか」まで落とし込んだうえで、意識と行動を変えていくための指針を定めました。Y顧問: キックオフ以降、すべてのミーティングに参加してきましたが、私自身が何かしらの助言をすることは一切ありませんでした。「皆さんはどうしたい?」「なぜ、そう思ったの?」と問いかけるのみで、メンバーが自分で考え、答えを見出していけるよう聞き役に徹しました。各部門が「あるべき姿」を定めた後、実行フェーズに移す― 半年間のミーティング後、どのような活動を展開していったのですか。小林様: 2018年末、改革宣言を行い、「3つのTRY」を定めました。まずは本音で会話し、自分自身をさらし出すこと。次に相手の考えを受け止めること。そのうえで、自分の意見を伝えること。この3つのTRYを繰り返しながら、従業員一人ひとりの「気づきと行動」を生み出していったのです。当初半数の部署のメンバーで編成していたチームも、全部署からメンバーを集めて規模を拡大。2019年は、各部署で「所属部署のあり方について自ら考え、自ら体現できるリーダー」を育成すると同時に、部署間の意見交流も進めていきました。厳しい意見も多数出ましたが、それは、より真剣に会社の未来を考えるようになったからこそだと感じています。― その後の活動は?小林様: これまでの活動で課題やあるべき姿が整理できたので、実行のフェーズに移りました。部署単位でありたい姿を描き、やるべきことを定め、実行に移す。そしてミーティングで振り返りを行い、フィードバックをもとに行動の内容をブラッシュアップしていく。これを現在に至るまで続けています。取り組みが全部署に広がった分、ミーティングの数も増えましたが、Y顧問は必ず出席し、私たちが意見を交わす様子に耳を傾けてくれました。Y顧問: これまでの取り組みで行ってきたことは、従業員の皆さん一人ひとりの意識と行動を変えることです。個から部署、そして部署同士など、徐々にその範囲を広げていきました。自分自身や所属部門のウィークポイントと向き合わなければならず、苦しい思いをしたことも多かったでしょうが、その分、実りの大きな3年間となりました。自走する組織として、各部門が経営戦略を実行していく― 活動の成果に関してはいかがですか?小林様: この3年、実行に移した取り組みは140件以上にのぼっており、成果が生まれている取り組みも多数あります。例えば生産設備課では、「ありたい姿=楽しく働く」と掲げました。そして、そのために必要なこととして「スキルアップ」「業務の負荷軽減」などを挙げ、教え合う体制を築いたほか、業務の負荷状況を視える化しました。これらの成果として、当初の課題であった品質トラブル数は着実に減少してきています。現在は各部門を経営戦略の受け皿として機能させていくことを目指して、新たなフェーズに移行しています。― 今後のビジョンをお聞かせください。小林様: ビジョンは2つあります。ひとつ目は、2024年を節目とする中期経営計画の「戦略実行者」として関与できる人材を一人でも多く増やしていくこと。私自身、人事担当者として、戦略実行者たる人材をいち早く見出し、彼らと一緒に組織を動かしていける存在になりたいと願っています。もう一つは、私たちがこれまで取り組んできたことを、「自立」して実践していくことです。かねてからY顧問には、「自分たちで意識や行動を変えていくことができる組織にすることが大切ですよ」というアドバイスをいただいていました。そこで、「社内コンサルタント」という形で候補者を選び、次世代のリーダーを育てるための枠組みづくりを進めています。これにより、ポーラ化成工業が「自走する組織」となり、成長する組織としての土台を築いていきたいと考えています。Y顧問: 経営者が経営の戦略を考え、従業員一人ひとりが戦略実行者としての意識をもって経営者の期待に応えていく。これにより、ポーラ化成工業はさらに強固な組織に成長することでしょう。