集客力を高めるために、Webサイトの改善やSNS運用、ブログ運用などに取り組む企業は少なくありません。ですが、費用を抑える必要があったり、そもそも専任の担当者がおらず、他の業務と兼任しながら広報業務の一部を担うケースも耳にします。本記事では、2023年3月7日開催のウェビナー『広報担当不在でも今日から実践できる! 記者が取材したくなる、プレスリリースの書き方講座』の内容をもとに、メディアの記者が「この企業、この商品についてぜひ取材したい!」と感じるプレスリリースの書き方、配信の方法、取材の準備などの具体的な方法や、集客力を高めるためのヒントをピックアップしてお届けいたします!投影資料(全編)のダウンロードリンクも用意しましたので、ぜひあわせてご活用ください。登壇者紹介河野 陽炎かげろうプロダクション大阪・泉州在住。17年以上のコピーライター経験と4年以上のフリーランス広報、マーケティングコンサルタントの経験を有する。プレスリリースやニュースレター、Webサイト、SNSなどを使い、費用を抑えながら広報活動に取り組む企業のサポート業務を担っている。こんな方におすすめの内容です自慢の商品を新聞やWebメディアに取り上げてもらいたいできるだけ多くの人に自社商品・サービスをPRしたい広報担当者がいなくて困っている広告費は抑えて集客や販売をしたいプレスリリースをもっと効果的に書きたいメディアの方と良い関係性を作りたいプレスリリースとは?認知拡大と集客に効果的な理由まず、プレスリリースという手法がどのような特徴を持っているのか見ていきましょう。プレスリリースは「企業がメディアにアプローチをする際に発行する公式文書」、つまり新しい製品や商品、新しいサービスの発売やイベントの情報などを企業がメディアにPRするための手段です。そのため、メディアの記者が取り上げたくなるような情報を盛り込む必要があります。消費者の方々に情報を届けるときには、チラシやコマーシャルメッセージなどを作成し、広告を打つ場合もありますが、メディアに向けてアプローチするプレスリリースとは異なります。新聞や雑誌などの記者は、特定の企業の "宣伝係" のようになることを非常に嫌います。広告を打ちたければ広告料を払ってくださいとなってしまうので、記事として取り上げる際には、消費者の悩みが解消されるような社会的意義のある商品やサービスである必要があります。そのため、プレスリリースにおいては、商品やサービスの良いところや魅力的な部分をメインにアピールするのではなく、いかに社会的に意義があるかという点をアピールしなければならないのです。プレスリリースの具体的な4つのメリットプレスリリースを発行するメリットは、大きく4つあります。1つめは、新聞や雑誌、テレビなどで取り上げられる可能性が高まる点です。企業のSNSやブログなどで情報発信しているだけでは、メディアの記者が見つけて取材に来てくれるわけではありません。しかし、作法を守ってプレスリリースを活用してメディアにアプローチすることで、取材される可能性が高まります。2つめは、広告費を抑えながら多くの人に宣伝できる可能性が高まる点です。一度メディアに取り上げられると、そこから多くの人へ情報が届くので、チラシや看板を作成したり、インフルエンサーを活用したりして消費者1人ひとりに対して広告宣伝をしなくて済みます。新聞や雑誌に一度取り上げられると、何万人という読者の方へ情報を届けられるというインパクトがあるのです。3つめは、メディアに取材されると商品やサービスの信頼感が高まる点です。「あの新聞が取材しているのだから信頼できる商品だろう」という印象を持ってもらいやすく、消費者が手に取りやすい状態を作ることができるでしょう。4つめは、Web上でプレスリリースを公開しSEO効果を狙える点です。副次的な効果ではありますが、プレスリリースを公開し続けていると、検索エンジンの上位に表示されやすくなるので、より多くの人の目に触れるようになる可能性も出てきます。このようなメリットがあるプレスリリースを活用するにあたっては、商品やサービスの良いところをどんどん説明するだけではなく、記者が取材したくなる、あるいはこの商品をぜひうちの新聞や雑誌で紹介したいと思わせるような情報を盛り込む必要が出てくるのです。記者が取材したくなるプレスリリースの書き方ここからは、記者が取材したくなるプレスリリースを書くための、具体的なポイントもご紹介していきます。記者の興味を惹くためのポイント記者に興味を持ってもらうには、上記の3点を意識する必要があります。メディアは常に記事にする情報や番組で紹介するネタなどを探しています。ただ、取り上げるのに向いている日やタイミングというのもあるので、それを狙えているかどうかを意識しておかないといけません。また、社会の動きに乗っている商品かどうかという点も重要です。最近では、環境問題やSDGsに絡んだ商品性・情報発信があると、メディアからの注目も高くなりやすい傾向にあります。そして、商品やサービスをメディアが取材するメリットも考える必要があります。例えば、新聞や雑誌に取材してもらいたければ、世間にはまだ知られてないような商品・サービスを意識し、読者が喜ぶようなネタとして紹介することが有効ですし、その媒体が「こんな商品を紹介するメディアはすごい」と読者に思われるようなメリットがあることをアピールする必要もあるのです。このように、プレスリリースを書く際には、記者が求めるタイミングで、社会の潮流に沿って、取り上げるメリットを感じてもらえるようにアピールするということをおさえておきましょう。プレスリリースを送るメディアの絞り方まずは、自社の商品やサービスを思い浮かべ、どのようなメディアに取り上げてもらいたいかを考えてみましょう。例えば、新聞の場合、全国紙でいきなり取り上げてもらうのは相当難しいため地方支局が狙い目です。特に、全国紙の中でも中小企業に関する情報を積極的に取り上げている新聞もあることを押さえておきましょう。加えて、特定の地方や業界に関して詳しく取り上げる、地方紙や業界専門誌なども狙い目と言えます。その他、新聞社向けに情報を提供する通信社などに情報提供し、新聞に掲載してもらうチャンスをうかがうという方法もあるでしょう。雑誌の場合は、ターゲット層を分析して、その雑誌に合う情報を持ち込むことが大切です。女性向けファッション誌に男性向けのホビーの情報などを持ち込んでも、なかなか喜んでもらえないですよね。きちんとどのような読者層なのかを考えた上で情報提供をすることがポイントです。インターネットメディアの場合は、新聞や雑誌に比べて情報がとても早く流れてしまうため、できるだけ早く情報を届ける姿勢が必要です。新聞社や雑誌社もオンラインメディアを運営しているため、一度新聞社や雑誌社に情報を持ち込むとネットでも掲載されるケースもあるでしょう。最後に、テレビやラジオの場合、全国放送をしているような局に取り上げてもらうのはなかなか難しいと言われています。そのため、ローカル局の情報番組やニュース番組、ケーブルテレビ、あるいは地域を特定して放送しているコミュニティラジオなどに情報を提供するのも一案です。プレスリリースの基本構成プレスリリースの基本的な構成は、上記のイメージです。まず大切なことは、忙しい記者は毎日何百枚もプレスリリースを読んでいるので、ほぼタイトルのみを確認しているという点です。そのため、プレスリリースはタイトルとサブタイトルに全身全霊をかけて作ってください。忙しい中でも取材するかどうかの材料になるよう、写真や画像による紹介も有効です。また、A4用紙1枚程度に情報が網羅できるよう、コンパクトにまとめるのも大事です。また、記者は事実確認のための取材も行うので、社名や所在地、業務内容をはじめとした会社概要はもちろん、会社の理念やビジョン・ミッションまで簡潔に記しておくと連絡も取りやすく思ってもらえるでしょう。取材したいと思われるタイトルのつけ方タイトルには一目で取材したいと思われるような要素を盛り込むことが重要なので、意外性、時流性、社会性などを入れることを意識しましょう。例えば、初心者向けの会計ソフトに関するプレスリリースの場合、よくない例の方には独自性や意外性がなく、伝わりづらい印象を受けます。一方、良い例では、業界最安レベルの会計ソフトであることや、知識がなくても正確に記帳ができるという情報が伝わりやすくなっています。また、副業希望者や起業家が増えているような社会性を意識した部分も伝わるようになっています。タイトルやサブタイトルのつけ方を1日で習得することは難しいので練習してみてください。本文やリード文などまで記者に読まれるケースはそう多くないかもしれませんが、物語性を好む媒体、新聞や経済誌、業界誌などに向けて発信する場合には、製品開発や会社が育ってきた過程にドラマがあるということを伝えれば採用されやすくなる場合もあるので、頭に入れておくと良いでしょう。プレスリリースを記者に届け、取材へ繋げる方法ここからは、プレスリリースを実際に記者に届ける前の準備について解説します。プレスリリース送信前の4つの準備まず1つめは、WebページでA4のプレスリリースに書ききれなかった詳しい情報を掲載することです。スペースの制限はないので、商品やサービスの仕様や開発秘話、実際のお客様の声などを記載しても良いでしょう。2つめは、SNSの運用です。昨今は記者が企業のSNSの運用状況についても注目しているので、プレスリリース発信前にスタートしてみてください。3つめは、実際に取材依頼があった場合の社内での体制づくりです。広報担当だけでなく、誰でも対応できるように、記者から問い合わせを受けた際の対応方法を決めておく必要があります。担当者が不在の場合には記者の連絡先を必ず確認し、記者に折り返す電話をして、取材依頼の回答をするようにしてください。4つめは、取材に対する備えです。自社の商品やサービスに関する情報を整理し、言ってはいけないことと言いたいことを明確にしておくことが必要です。取材の際に写真撮影をすることもあるため、入ってはいけない資料を片付けておくなどの対応もしておきましょう。また、商品や会社に対するファクトブックを作成し、記者に渡すのも有効です。プレスリリースの3つの配信方法実際にプレスリリースを配信する場合、3つの配信方法があります。同一のプレスリリースを多くの方に向けて一斉に配信する「一斉配信」、特に関係を作っていきたいメディアに個別に配信する「個別配信」、そして記者個人宛に配信「記者あて配信」です。個別、あるいは個人名宛てで届いた手紙が無視しにくいように、記者へプレスリリースを配信する場合も同様と言えるので、特に中小企業は個別配信や記者あて配信をうまく活用できると良いでしょう。プレスリリース配信後に実行すべき5つの行動最後に、プレスリリースを配信後に上記の5つのことを実行することで、メディアの記者との良い関係性を築いていけるでしょう。電話によるフォローは、真剣にプレスリリースを送っているんだという印象をつける上で重要です。また、実際に取材を受けて記事が掲載された場合は、ブログやSNSで紹介すると同時に、掲載のお礼を記者に必ず伝えてください。残念ながら採用されなかった場合には、記者に不採用になった理由を聞き、今後に活かすほか、記者の心に残るようにしていきましょう。そして、反省点を活かしてプレスリリースを繰り返し発行することで、記者と信頼関係を築いていき、消費者だけではなく、記者のことを自社のファンにしてしまうところまでやるのがポイントです。まとめプレスリリースを活用するにあたっては、メディアは特定の会社の宣伝係になるのを嫌うという大前提を押さえて検討していきましょう。メディアにとってどういうメリットがあるのかを考えて、好む情報をプレスリリースで伝えてしてください。また、初めにどのメディアに取り上げてほしいのかを明確にしておいてください。どのメディアにどんな情報を取り上げてほしいのかを整理しましょう。そして、社内の体制づくりやプレスリリース送信前後の準備も必ず実行し、記事掲載後には、対応や集客効果など、反省内容を次回に活かしていってください。プレスリリースを活用し、商品・サービスの認知拡大や集客を目指していく上では、広報の専門スキルを持ったアドバイザーや、Webサイト・SNSなどを運用する人材が必要になってくるでしょう。豊富な経験やノウハウを持ったプロ人材の活用も検討し、より目標に近づくための体制作りも併せて取り組んでみてはいかがでしょうか。