今回は最近耳にする機会も増えてきた「ストレングスファインダー」について取り上げます。コロナ禍によってテレワークが普及したことで、業務以外のコミュニケーションが減り、チームメンバーの個性や価値観が把握しづらくなったという方も多いのではないでしょうか。そのような課題を解決するために有効なのが、人の弱みではなく、才能を見える化する「ストレングスファインダー」という分析法。本記事では、この基礎概要と企業での人材マネジメントへの活用方法をご紹介します。「ストレングスファインダー」は”強みのもと”を発見するもの「ストレングスファインダー」は直訳すると「強みの発見」となるように、個人の強みを発見・開発するためのツールです。診断テストを行なった結果から、強みになる可能性がある部分を見つけ、伸ばすためのものとも言えます。「資質」×「投資」(トレーニング)=「強み」このような式で考えるとわかりやすいと思いますが、強みを”一貫して成果を生み出す能力”と定義すると、強みは資質と投資の掛け合わせによって生まれます。ストレングスファインダーを行なうと、個人の持つ「資質」の「強弱」が明らかになります。ここで言う「資質」は、以下の図の通り34種類に分類されます。この順位によって、自身の資質を知ることができます。資質の中でも上位にくる特性を理解してトレーニングを行なうことによって、成果につながるような強みにしていくことが可能です。また、状況に応じて自分自身が持つ資質の上手い使い方を見つけられれば、業務の進め方や戦略策定でも役立つでしょう。実際、「強み」と「成功」の関係性については、ストレングスファインダーの考案者である心理学者のドナルド・クリフトン氏とアメリカの世論調査会社ギャラップ社の調査によって、下記のことが明らかにされています。● 自分の才能を知り、それを使用する機会がある人は、そうではない人よりも生活の質が向上する確率が3倍高い● 自分の強みを使用している人は毎日の生産性が7.8%向上しているこのように自分の強みを理解して、適切に活かしていくことで、仕事での成功につなげることができるのです。チームビルディングにも役立つ!「ストレングスファインダー」のメリットストレングスファインダーは個人で行なうだけでも業務に活かせますが、チームで実施し結果を共有することで、強い組織作りにも寄与します。その具体的なメリットを3つご紹介します。【メリット1】メンバー同士の価値観や考え方を知ることで、結束力が向上するストレングスファインダーの34の資質という共通言語を持った上で、お互いの価値観・考え方を理解しようとするため、メンバー同士のコミュニケーションもスムーズになります。「誰がどんな資質を持っているか」「どのような思考プロセスなのか」を押さえることで、チームワークを発揮しやすくなると考えられます。メンバー同士が相互に理解し合うことで、チームの結束力が高まるでしょう。【メリット2】一人ひとりの強みを活かす戦略が立てられるプロジェクトや業務によっては、求められる資質が違うのはもちろん、課題解決のアプローチも変わってきます。そこで、メンバー一人ひとりの強み・弱みがわかっていれば、置かれた状況に合わせた役割を担うことが可能です。強みを活かすことのできるポジションに配置し、一方で弱みとなる部分は他のメンバーが担当するか、あるいはフォローしてもらう体制を整えるといった工夫をすることで、プロジェクトの推進に役立つでしょう。例えば、「コミュニケーション」に強みがあるメンバーの場合、会議の進行やプレゼンテーションを行なう役割を担い、深く考えて企画を練る部分は「戦略性」を強みとする別のメンバーと一緒に担当することで、検討を重ねた企画をわかりやすく提案することができ、より業務が前進しやすいと考えられます。【メリット3】生産性を向上させ、多様な働き方を受け入れやすくなる強みを活かした戦略を立て、適材適所の人材配置をすることができれば、より効率的に業務を進められます。弱みの資質が求められる業務を続けていた場合には、時間がかかってしまうだけではなく、成果の質も低下するケースもあるでしょう。しかし、強みを活かした業務を担当することで、スムーズに業務を遂行できる上、モチベーションや生産性の向上も期待できます。また、正社員だけでなく、副業・兼業やフリーランスなど多様な人材が協働するチームにおいても、時間・場所問わず個々が強みを発揮できることによって、より高い目標の達成へとつながる可能性もあります。副業・兼業やフリーランスなど外部のプロ人材を巻き込んだチームでのコミュニケーションやチームビルディングに関しては、無料配布中の外部人材活用ガイド・事例集でも事例と併せてぜひチェックしてみてください。「ストレングスファインダー」を人材育成やコミュニケーションに活用しよう!ストレングスファインダーは、人材マネジメント戦略の一つとして活用できます。より成果を出せるチーム作りのための導入方法を2つご紹介します。【活用法1】人材育成の観点からコーチングに活用するチームでの活用の前に、個人で強み・弱みを把握し、能力の向上やキャリアアップにつなげていくことです。ストレングスファインダーを活用し共通言語を持ちながら人材育成を行なうと、マネージャーからメンバーへの適切なアドバイスやコミュニケーションが可能になり、より強みを伸ばしたり、弱みを理解したりして成果につなげられると考えられます。メンバー自身も、モチベーションの上下や仕事の進め方など自分の特性を知ることで、意識して改善しようとするので、より早い成長も期待できるでしょう。【活用法2】新しいプロジェクトメンバーでテスト的に実施するストレングスファインダーは、新しくチーム作りをする場面でもまず試してみることがおすすめです。固定観念を持っていない状態で、チームメンバー同士の価値観・考え方の特徴を理解していけるため、最初のステップとして活用しやすいと考えられます。また、社員だけではなく、外部人材も含めたチーム全員で行なうことも効果的です。外部人材とは、毎日顔を合わせる機会がない場合もあるため、コミュニケーションを円滑に行なう上でも、一緒に実施すると良いでしょう。加えて、外部人材の思わぬ強みを発見でき、異なる業務を依頼したり、他のメンバーのフォローを担ったりなど、外部人材の能力を最大限発揮できるように環境を整えられるとも考えられます。このように、個人、新しいチーム、企業全体あるいは複数のプロジェクトというように活用範囲を広げていくことで、企業全体としてストレングスファインダーの活用方法の知見も蓄積され、人材マネジメント戦略へ役立てられるのではないでしょうか。いかがでしたか?本記事で取り上げた「ストレングスファインダー」は、個人での活用だけではなく、企業における組織体制の構築や人材配置といった人材マネジメントにおいて、個々を理解しながら強いチームを作る際にも活用できます。多様な人材との協働が増える中で、相互理解を促し、コミュニケーションを円滑にするためにもぜひ試してみてはいかがでしょうか。