今回は「適切な外部人材の採用方法」について取り上げます。近年、フリーランスや副業など働き方の多様化が進む中、人材を獲得する手段として、新卒・中途採用だけでなく、外部人材を活用する企業も増えています。しかし、現場でミスマッチが発生したり、貢献度が低かったりなど、期待していたような人材を採用できなかったというケースはよくあります。そこで本記事では、組織やプロジェクトが求める人材の要件を適切に設定し、外部人材の採用を成功させるための方法をご紹介します。採用を失敗してしまう原因は、”現状把握ができていない”こと?外部人材の採用にあたっては、プロジェクトマネージャーや組織のリーダー層が、求める人材の要件を明確にしていく過程を通ります。その中では、採用の失敗につながってしまうような考え方や方法を取っている場合があります。今回は2点にフォーカスし、原因を探ります。【原因1】パーフェクトな人材を求め過ぎてしまっている組織の戦略を追求するあまり、現実には存在しないようなスキルや経験、人柄を兼ね備えた完璧な人材をイメージして求める人材を設定してしまった結果、理想とする人材に出会えないというケースがあります。このケースは、プロジェクトマネージャーが労働市場の現状を理解しきれていないために起こりうるものです。このような課題を解決するには、組織戦略と労働市場の双方を理解した上で、求める人材の要件を擦り合わせると良いでしょう。具体的には、自社が必要とするスキルやノウハウを持った人材は、どのような業界・規模の企業で、どういった働き方をしているのかを把握した上で、採用したい人材を設定していくことが望ましいと考えられます。【原因2】採用したい人材のスキルセットが曖昧になってしまっている肩書などのわかりやすい軸を基準にするあまり、自社のスタイルや成長フェーズに合うかどうかといった組織戦略に関する要件が曖昧になったまま採用を進めてしまう場合があります。たとえば、「大企業の役職経験者を採用したい」といった形で、履歴書の肩書を重視した結果、実は求めていたスキルを持っていない人材を採用してしまったという事態が生まれてしまうのです。このようなケースを未然に防ぐには、プロジェクトで期待する役割を明確にし、必要なスキルセットを言語化することが重要です。そして、合致する人材を市場から探し、実際にコミュニケーションを取れる面談の場で実績をヒアリングして、自社に合うかどうかを見極めていくと良いでしょう。このように、現状の労働市場を押さえながら、自社の成長フェーズや事業の方針を踏まえて必要なスキルや経験などの要件を設定することが、適切な外部人材を採用するカギを握るのです。適切な人材を採用するためのフローとは?次に、求めるスキルや実績を持つ外部人材を採用する流れを見ていきます。【ステップ1】ターゲットを具体化する最初のステップとして、本質的なターゲット像を決めるため、具体的な人物イメージを元に、ディスカッションを行なうことが重要です。「▲▲部の●●さんのような人」というように、実在する社員のスキル・能力・人格を例に出しながら擦り合わせると、認識のズレも少なく採用したい人材の要件を明確にできます。また、実際の業務内容を踏まえ、必要要件・歓迎要件・NG要件を設定すると、候補者の母数も広がり、採用可能性を高めることにつながるでしょう。【ステップ2】適切な採用方法を選ぶターゲットを具体化すると、どの採用方法が合っているかも見えてきます。今回は主な4つをご紹介します。【人材エージェント】エージェント経由で人材を紹介してもらう方法です。優柔な人材に出会いやすく、確実性が高いことがメリットですが、比較的に費用が高くなることや0から候補者を選べないことが懸念点として挙げられます。【アウトソーシングサービス】業務の一部をより特化した外部の専門業者に委託する方法です。プロジェクトや案件に応じて、柔軟に人材を活用できることがメリットです。一方、完全に外部に任せてしまうため、社内にノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。【リファラル採用】社員に人材を紹介してもらう方法です。候補者が社員とつながりがあるため、信頼性が高いのが特徴です。ただ、人間関係に影響する場合があるため、リスクともなり得ます。【マッチングプラットフォーム】プラットフォーム上で求める人材を募集してマッチングを図る方法です。高度なスキルやノウハウを持った人材に対して、募集情報を展開しながら確実にマッチングできるのが特徴です。これらの中でも、費用を抑えながら即戦力となる人材と協働したい場合には「マッチングプラットフォーム」の活用がおすすめです。エンジニアやデザイナーから、営業、マーケティング、一般事務職まで様々な職種において、ハイレベルな知見を有する外部人材が集まっています。組織やプロジェクトのニーズに合った人材とマッチングできる可能性も高い傾向にあります。実際に採用を行う際に明確にしておくべきことここまでは人材の採用要件を設定するポイントをご紹介してきました。次は実際に面談などを通じて採用を行う過程で明確にするべき点をまとめていきます。採用目的・解決すべき課題に立ち返る欠員補充や採用難易度が低い職種のケースでは、目的が曖昧になりがちで、ミスマッチも起こりやすい傾向にあります。日々プロジェクトを推進していると、目の前の仕事に集中してしまい、全体としての課題への状況把握や対応が後回しになってしまうことが要因です。そこで一度立ち止まり、「何のために採用するのか?」を再確認した上で、具体的にどういった業務を任せるかを整理してみましょう。企業側としても、人材側としても、ポジションの意義や求められている成果に対する理解が深まると考えられます。人材に求める期待値を明確にする業務を依頼する人材に対しては、タスク量や稼働時間といった業務プロセス以外にも、目標に対してのパフォーマンスを期待し、報酬を設定することが多いでしょう。しかし、場合によっては報酬が低すぎたり、高すぎたりするようなケースもあるので、きちんとプロジェクトやチームの目標に合わせて求める期待値を設定して、報酬へ反映することが重要です。そうすることによって、外部人材自身がスキルを発揮するイメージを持つことができ、協業しやすい環境を整えることにもつながるでしょう。実際に外部人材を活用する中で、スキルやノウハウを引き出し、成果を最大化するための目標設定のコツは前回の記事でも紹介していますのでぜひチェックしてみてくださいね。いかがでしたか?様々な業界で人材不足が叫ばれる中、即戦力となる外部人材の活用はより活発になると考えられます。そういった状況下で、人材のミスマッチが発生すると、時間的にもコスト的にも大きなロスになります。適切な人材を確保するためには、求めるスキルセットを明確にし、最適な採用方法を選択することを意識してみましょう。