今回は「内製化と外注」に関して取り上げます。プロジェクトの体制を整える際、全て社内の人材で行うか、あるいは外部委託するか迷うシーンもあるでしょう。企業の経営戦略として、「選択と集中」を押さえ、自社が本当にやらなければならない業務を内製化し、それ以外の業務を外部委託する流れが一般的ですが、各企業の進む方向性によっては内製化しない方が良いケースもあります。本記事では、内製化のメリット・デメリットを整理しながら、自社に合うプロジェクト体制作りのヒントを解説していきます。そもそも内製化とは?業務効率化とコスト削減という2つの観点「内製化」とは、従来は外部に委託・依頼していた(=外注)業務を、自社内で行なうように切り替えることを指します。また、新たに生まれた業務などを「外部に委託しない」こと自体を内製化と呼ぶケースもあります。内製化を検討する際、それによって解決すべき課題として主に挙げられるのは以下の2点です。【課題1】業務効率化社内の状況を熟知した人材・体制が主要業務を担うことで、イレギュラーが発生した場合などでも対応しやすくため、結果的に業務効率化に繋がることが期待されます。また、社内で業務設計が完結しているため、煩雑な業務フローをよりシームレスに改善もしやすくなるでしょう。【課題2】コスト削減社内リソースで対応するように切り替えることで、専門性を要する業務やイレギュラー業務を外注する際に発生していた追加費用などを削減できる場合が多いためです。柔軟さが魅力!内製化の4つのメリット先述の課題背景も踏まえた、内製化の基本メリットを簡潔に整理しておきましょう。1つ目は、【コスト削減】。既存業務を内製化する場合には、外部委託費用が不要になりますし、新規業務を内製化する場合にも別の部分に費用を充てられます。社内リソース分のコストが増える可能性がありますが、外部委託先で発生する利益分のコストは削減できると考えられます。2つ目は、【ノウハウの蓄積】。社内で業務が完結するため、課題が発生した場合も、社内で解決する必要があります。その結果、実務の中でわかる知識やノウハウが自然と社内に蓄積されるため、長期的に見て大きなメリットになると言えます。3つ目は、【スピーディーに対応可能なこと】。外部委託の場合は、イレギュラーな業務が発生した時に対応が遅れてしまうケースや、対応時間外に発生したトラブルに対応できないというケースもあります。内製化していれば、社内で連携を取りながら対応できるため、スピーディーな動きが可能となります。4つ目は、【機密情報や個人情報漏洩のリスクが低いこと】。外部委託する場合には、情報も委託先に共有する必要があります。委託先の情報管理に関してもリスクを負うことになるため、内製化することで情報漏洩のリスクが下げられるとも考えられます。スピード感と負荷が課題!内製化の3つのデメリットもちろん、内製化の実現にあたっては考えうるデメリットもあります。1つ目は、【内製化に転換する際に運用コストが発生すること】。業務に必要なツールやサービスを導入するため、継続的にコストが発生することがあるので、初期投資がどのくらい必要かを確認しなければなりません。2つ目は、【業務に対応するため人材を採用する必要があること】。業務量が増えたり、業務領域が広がったりするため、新たに人材を採用して、担当者をつける必要があります。採用活動を実施しなければならず、人材を見つけるまでに時間がかかってしまうケースがあるので注意が必要です。3つ目は、【人材育成・研修が必要で時間がかかること】。人員が足りていたとしても、新しい業務に取り組むには研修を行ったり、知識を習得したりする時間が必要です。そのため、実際に業務が軌道に乗るまでに時間がかかったり、その期間の業務効率が下がってしまう場合もあります。先のようなメリットがある反面、デメリットとも言える実現ハードルも存在する「内製化」。プロジェクト体制を整えるにあたり、良い部分だけを取り入れられないかと考える方は多いと思います。以下でポイントと、既存の考え方とは少し異なるアプローチを解説します。内製化の判断基準を解説!良いとこ取りの外部人材活用も選択肢のひとつ?内製化か外注かの検討・判断ポイント内製化か外注のどちらが自社の状況に適しているか、3つのポイントで確認してみましょう。▼【ポイント1】コスト面外注費用と、内製化によって増加する人件費や設備投資額、人材育成コストを比較しながら検討しましょう。結果的にコストを削減したいという目的が叶うのかどうか、他のコストも踏まえて確認できた方が確実です。内製化によって社内リソースを増やしたり、設備を購入したり、研修などを行ったり、想定以上の費用がかかる場合もあるので注意しましょう。▼【ポイント2】業務継続性想定する対象業務・プロジェクトが、短期的な業務なのか長期的な業務なのかを検討しましょう。短期的業務であれば、運用フローの整備までに時間をかけても、すぐに終了してしまうので労力の無駄になりかねません。そのため、業務がどのくらい継続するのか、運用フローを整える期間を入れても業務効率化に繋がるものなのかを確認しましょう。▼【ポイント3】内製化の範囲どの部分まで内製化すればメリットが得られるかを検討しましょう。内製化する領域を明確にすることで、メリットが大きいのかデメリットが大きいのかを比較することができます。自社のコア業務と関わる部分なのかどうかも合わせて確認してみると良いでしょう。外部人材活用という第三の選択肢内製化を検討する中で、メリット・デメリット両方あり、悩む場合も少なくありません。そこで、内製化のメリットを残しつつ課題をカバーできる方法として、プロ人材の活用が挙げられます。プロ人材(=外部人材:副業やフリーランスなど)の活用は、外部企業への発注とは異なり柔軟な対応が可能です。内製化の課題のひとつとなる人材育成の面では、専門スキルを既に持っているプロ人材であれば即戦力として実務遂行が可能なのですぐに業務に取り掛かれます。また、プロ人材と協業する形のため、専門スキルを社内に取り込めるというメリットもあります。加えて、正社員の場合は採用活動に時間がかかるケースがありますが、『スキイキ』のようなマッチングプラットフォームなども活用することで、比較的早期に人材を見つけることもできるでしょう。プロ人材の活用の基本については、プロ人材活用ガイド&事例集でも紹介していますので合わせてチェックしてみてください。いかがでしたか?内製化するか外注するかは、必ずしもどちらがいいとは言い切れないトピックなので、経営層・マネージャーにとってよくあるお悩みだと思います。今回ご紹介した3つの基準で比較検討すると同時に、場合によってはプロ人材を活用しながら業務効率化を測ってみてはいかがでしょうか。内製化に限らず、人材活用をより効果的に行うためのご提案も行っていますのでお気軽にご相談ください。