今回は、マネジメント層(管理職)の業務委託について取り上げます。従来の日本型の年功序列や終身雇用からジョブ型雇用へ移行したり、働き方の多様化が進んだりする中で、管理職不足の課題を抱えている企業は少なくありません。そこで、本記事では、マネジメント層が不足している背景を確認しながら、解決策としての外部人材活用や、マネジメント業務を任せる際に注意したポイントを解説します。ぜひプロジェクトマネジメントやチーム作りの参考にしていただければと思います。マネジメントを担う人材不足は「終身雇用の崩壊」と「働き方の多様化」が要因?高度経済成長期などプラス成長が当たり前だった時期から、正社員を定年まで雇用する「終身雇用」が日本の主流の考え方でした。“総合職” として新卒一括採用し、ジョブローテーションなどを繰り返しながら長期的視点で育成する「メンバーシップ型雇用」とも呼ばれ、管理職もその中で育成されてきました。しかし、近年ビジネス環境が急速に変化し、低成長にとどまる状況においては、管理職としての適切な育成にコストや時間を割ける企業は少ないのが現実です。昨今、業績の良い優良企業でさえも、長年勤続している正社員に対して早期退職募集やリストラが行われるケースも出てきました。つまり、終身雇用は崩壊し、無条件に多数の社員を抱えることは経営上のひとつのリスクという考えが生まれ始めているのです。求められているのは「必要な事業やプロジェクトに、必要な専門能力を持った、必要な数の役職・担務人員がコミットしていく」という柔軟さであるとも言い換えられます。実際に、従来型の「メンバーシップ型雇用」から、必要な職務(ジョブ)に応じたスキルや経験を重視した「ジョブ型」や「タスク型」の人材雇用・活用へとシフトする動きも見られます。ジョブ型雇用とは何か?特徴を比較しながら考える、人材確保・組織体制の在り方 - スキイキマガジンあるコンサルティング企業が行なった人材採用・育成・制度に関する調査によれば、回答企業の63.5%が「マネージャー(管理職)が不足している」という結果が示されています。次いで「専門・技術のスペシャリスト人材」の不足が44.2%と続き、管理職はもちろんのこと、顧客のニーズが多様化・専門化していく中で求められるノウハウも欠かせなくなっていることがうかがえます。また、社員の立場に立っても、管理職になるまで出世すれば安心という働き方を求める傾向は以前よりは弱まり、転職や副業・兼業を通じて個人としてのスキルや給料をアップさせ、会社にだけ依存せず自らのキャリアを切り拓くという考え方の浸透が進んでいることも管理職不足の要因と考えられます。このように、終身雇用・メンバーシップ型雇用が前提ではなく、ジョブ型・タスク型の人材活用への移行、働き方の多様化などにより、管理職の候補者がそもそも不足していることに加え、人材育成にも課題を抱えている現状が確認できたと思います。「監視型」から「ビジョン型」へ。変化したマネジメント層の役割とは?管理職の人材育成が難しいという課題が顕在化したのは、コロナ禍でマネジメント層の役割に変化が生じたことも関係していると言えます。従来は出社が前提で、人事評価基準は成果に加えて業務プロセスも含まれていました。そのため、管理職は部下の業務進捗などを事細かにチェックする必要がありました。しかし、コロナ禍のリモートワークにより業務プロセスが見えにくくなった状況下では、時間や業務プロセスを管理したり、人事評価軸にすることは難しくなってきています。チームメンバーの業務状況が見えないことで不安が募り、過度な干渉をしてしまう「マイクロマネジメント」が課題になっているケースも少なくありません。つまり、「監視型」のマネジメントの必要性は低下しており、マネジメント層に求められる役割も変化しているのです。では、これからのチームに求められるマネジメントの役割は、どのようなものなのか。それは、目的達成のために社内外を問わずメンバーがパフォーマンスを発揮しやすい環境作りを行う「ビジョン型」のマネジメントだと言えるでしょう。この場合のマネジメント層の役割としては、事業を通じて成し遂げたいことや目指すべきビジョン、そのための定量目標などを示しつつ、プロジェクトのプロセスやメンバーの人材配置を最適化し、個々が能動的に貢献できるよう導くことになります。「ビジョン型」のマネジメントを実行するには、プロジェクト全体を円滑に進行させチームの成果を最大化する「ファシリテーション能力」や、目標達成までの間に発生する問題の本質を見極めていく「問題解決能力」が必要となってきますが、一朝一夕で身につくものではありませんし、そのような能力や経験を持った人材を社内のみで探すのも難しいでしょう。そこで、管理職を補う有効な手段として、マネジメントスキルを持った外部人材を活用することも1つの選択肢となってくるのです。外部人材の中には、実務的な専門知見を蓄えてきたことはもちろん、組織で成果を上げるようなマネジメントを経てきたプロも多くいるので、プロジェクトメンバーが能力を発揮しやすいようなディレクション、コミュニケーションが得意という人も少なくありません。そのため、即戦力が必要であれば、外部人材にマネジメントも含め業務委託することも管理職不足の解決策となりうるのです。下記の、無料配布中のプロ人材活用ガイド&事例集にて、こうした人材活用や事例についてコンパクトに凝縮してまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。マネジメント業務を外部人材に任せる際に押さえたい3つのポイント!ここからは、外部人材にマネジメントを任せる際の注意点を紹介します。外部人材活用を検討している方や、外部人材を含めたチーム作りの参考にしていただければと思います。【ポイント1】委託業務の範囲や期待する成果を明確にするマネジメントを外部人材に任せる際には、業務範囲を事前にすり合わせクリアにしておく必要があります。マネジメントと言っても業務は多岐にわたりますし、プロジェクトやチームによって役割が異なります。そのため、協働する前に、委託する業務領域やマネジメントの範囲を明確にしておくことで、その後の業務連携やチーム作りがスムーズになってくるでしょう。また、期待する成果や定量目標をコミュニケーションを取りながら設定することで、外部人材が力を発揮しやすい環境を作ることにも繋がると考えられます。事業やチームの課題を整理する時には、ぜひ以下の事業推進・改善ワークブックも活用してみてくださいね。【ポイント2】業務の具体的な遂行方法はプロ人材に任せる即戦力となる外部人材は、豊富な知識や経験を持っており、協働する上では成果を求めます。そのため、業務プロセスについては専門スキルのある外部人材に任せる方がスムーズに業務を推進できるでしょう。また、押さえておきたい注意点になりますが、一方的な指示や命令によって作業レベルの遂行方法を決めてしまうと、労働契約と同等、つまり偽装請負と解釈されてしまう可能性もあるということを理解しておきましょう。プロのマネジメントスキルを活かすと同時に、トラブルを防止するためにも、まずは具体的な業務方法については任せ、必要なタイミングですり合わせをすることを意識することが大切です。【ポイント3】チームメンバーとして相互理解する体制を作る外部のプロ人材がチームに入るメリットとして、豊富な知見を活かし、組織を客観的に捉えてアイデアを出したり、意思決定の方向性を示したり、全体像を見た上で業務プロセスに落とし込んだりすることが可能です。チームの一員として、それらの提案をしやすい環境を作ることで、よりチームの成果につながる可能性が高まります。チームメンバーと相互にコミュニケーションを取れる場を用意したり、外部人材に限らず意見やアイデアを出しやすい環境を事前に整えていくと良いでしょう。この3つのポイントを押さえながら、マネジメント層に求めるスキルや業務領域を明確にしてみてくださいね。プロジェクトマネージャーに外部のプロ人材を業務委託採用した企業の活用事例もあわせて参考にしてください。いかがでしたか?今回は、管理職の業務委託に着目し、外部人材にマネジメントを任せる際に押さえておきたいポイントをご紹介しました。終身雇用が当たり前ではなくなった今、マネジメントスキルを持つ人材の不足に悩む企業は増加しています。そのような潮流の中、マネジメント業務もプロとしての能力を持った外部人材に任せる動きも広がりを見せるでしょう。管理職の業務委託にあたっては、スキルを持った人材を探すために、私たち『スキイキ』のようなマッチングプラットフォームの活用も有効です。ぜひ、マッチング事例なども参考にしていただきながら、マネジメント委託のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。