今回は、近年ビジネスにおいてよく語られる「デザイン思考」について取り上げます。デザイン思考(デザインシンキング)は、ビジネス上の課題を解決するための思考法として注目されています。「デザインはデザイナーの仕事では?」「デザインとビジネスはどのように関係しているの?」と感じている方もいるのではないでしょうか。本記事ではデザイン思考の概要から、具体的なプロセス、デザイン思考を取り入れるメリット・デメリットをまるごとご紹介していきます。ぜひアイデア出しや日々の課題解決の参考にしていただければと思います。デザイン思考とは?ビジネスシーンで必要な理由を探る!まず「デザイン思考」とは、デザイナーやクリエイターがデザインを考える際の思考プロセスを活用して、ビジネスにおける前例のない課題や、未知の課題を解決するための考え方のことを指します。ユーザー視点に立ち、商品やサービスの裏にある本質的な課題やニーズを発見することで、最適な解決を図っていくのが特徴です。では、デザイン思考がなぜ必要なのか。これには、こちらの記事でもご紹介しました、VUCA時代と呼ばれるような変化の激しさ、先行きの不透明さが顕著になりやすくなっているということが背景にあります。VUCA時代を生き抜くには“人材自前主義”からの脱却が重要?「攻め」の外部人材活用とは - スキイキマガジン今までは、商品・サービスを生み出した際、多少使い勝手が悪かったとしても、目新しいものであれば、それだけで差別化でき、売上へと繋がっていました。ですが、様々な商品やサービスが豊富に揃っており差別化を図ることが難しい今、そして、変化が激しくユーザーの課題を捉えることが容易ではない今、ただ新たな商品・サービスを作り出しても売れなくなっているのです。そのため、ユーザーの視点に立ち、ユーザーが抱えている本質的な課題を考えて商品やサービスを作ることが、ビジネス上の課題解決においても重要になります。このような課題を解決するために、デザイン思考が求められているのです。知っているかどうかで大違い!デザイン思考において大切な4つのマインドでは、デザイン思考をする上で前提となるマインドを整理しておきましょう。チームメンバーとデザイン思考で物事を考える上では、以下の4点を押さえておく必要があります。【ポイント1】ユーザー視点新たなプロジェクトで動き出す際、利益や売上といったビジネス視点で物事を考えることがありますが、デザイン思考で大事にするのは「ユーザーが本当に悩んでいることは何か」「どのように解決するか」「なぜ必要なのか」「ユーザーが価値を感じるポイントはどこか」など、ユーザー視点です。デザイン思考を活用する際には、ユーザー視点を常に持ち、その上で後にビジネス視点を合わせていきましょう。【ポイント2】コミュニケーション重視の環境デザイン思考をする際には、チームメンバーやユーザーなどとのコミュニケーションを活発にすることがポイントです。様々なメンバーが意見を言いやすい環境を作り、オープンに議論できるようにすることが、多くのアウトプットを生むことに繋がっていきます。プロジェクトマネージャーやチームリーダーの方などは、その土台作りをすることが大きな役割となりますので、心理的安全性の高いチーム作りを心がけてみてください。【ポイント3】まずは作ってみる、という意識デザイン思考で意識したいのは、「最初から完璧にしなければならない」という考えを横に置くことです。早い段階で試作品や体験版などを作り、ユーザーに実際に利用してもらいフィードバックを蓄積することが欠かせません。そして、検証・改善を行うことで、より良い商品・サービスを作ることができるという意識を持ちましょう。【ポイント4】1つのアイデアに縛られない、という意識最初の段階からアイデアを固めてしまうと、柔軟性がなくなってしまいます。ユーザーの行動やニーズの変化が激しい今、多様性のあるアイデアを持ち、仮説を検証していきながら、徐々に収束していくことがポイントです。このように、4つのマインドを押さえながら、次から紹介するデザイン思考のプロセスを活用してみてください。押さえておきたい!デザイン思考の5つの実践プロセスここでは、デザイン思考を実践する際に踏むべきプロセスを紹介します。ハーバード大学デザイン研究所のハッソ・プラットナー教授が提唱した『デザイン思考の5段階』が代表的な一つとして知られていますので参考にしてみてください。【ステップ1】観察・共感最初のステップはユーザーの共感を得ることです。インタビューやアンケートなどを活用し、「ユーザーが本当に求めているものは何か?」を見つけていきます。その際、どのような気持ちでその回答に至ったのかという背景まで考えるようにするのが重要です。【ステップ2】問題定義「共感」をヒントに、ユーザーのニーズを定義していきます。ステップ1で出てきた言語化されているニーズはもちろん、ユーザー本人が気付いていないニーズや課題を深掘り、抽出していきましょう。【ステップ3】アイデア創出「問題定義」を行なった後に、ブレーンストーミングなどをチームで行ない、解決するアイデアを議論していきます。マインドの部分でも触れましたが、コミュニケーションを取りながら、多様なアイデアを出すことを心がけることが重要です。【ステップ4】プロトタイピングアイデアが収束したところで、試作品や体験版などを作りましょう。時間やコストをかけず、「まずやってみる」という意識で形にしていきます。そうすることで、新たな問題点に気付き、改善することが可能となります。【ステップ5】検証「プロトタイピング」で作ったものを使い、ユーザーテストを繰り返し、フィードバックを受けたことを参考にブラッシュアップを図ります。これまでのステップで検討したことが正しかったのかを確認して、改善していくことが重要です。デザイン思考のメリット・デメリットを理解して、より高い効果を発揮!実際にデザイン思考を取り入れる場合のメリット・デメリットについて解説します。デザイン思考の特性を理解しながら活用することで、より効果を高めることができるので、事前に押さえておきましょう。メリットとしては、主に下記が挙げられます。アイデア提案の習慣化とイノベーションの創出ユーザー視点に立つ力が身に付く多様な意見を受け入れる土壌が形成されるチーム力の強化普段とは異なる思考法を取り入れることで、イノベーションが生まれやすくなることはもちろん、提案がしやすくなったり、提案の内容についてもユーザー視点を盛り込んだ質の高いものになる可能性があります。デザイン思考をチームで取り入れた場合、チームメンバー全員が参加した場で、自由に公平にアイデアを出すことができるので、多様な意見を受け入れながらプロジェクトを進めることが可能となります。加えて、一人ひとりがチームの一員として貢献していくような意識が高まると考えられ、チーム力の強化にもつながるでしょう。一方、デメリットとしては下記のような点も考えられます。ゼロベースでの創出には不向き広い視野で革新的な発想ができるメンバーが必要思考プロセスを見ればわかることですが、まずはインタビューやアンケートといった調査からプロセスがスタートします。そのため、何もない状態からのスタートには不向きです。また、調査した結果から潜在的な課題を見つけ出す際に、既存の考えを大事にするメンバーのみでチームが構成されている場合には、新たなアイデアは生まれにくいでしょう。特に、社内人材だけで構成されたチームでは、客観的な視点や幅広い知見を持つことは難しいケースも少なくありません。このような状況では、様々な企業での業務経験があり、ノウハウを豊富に持っている外部のプロ人材(副業・兼業やフリーランスなど)にも業務委託でチームに参画してもらうという手段も、デザイン思考をより効果的に取り入れる上では有効な選択肢となるでしょう。外部のプロ人材とのマッチング・業務委託採用については、以下で資料PDFを無料配布しているプロ人材活用ガイド&事例集でその基本を紹介していますので、ご検討の際はぜひチェックしてみてくださいね。いかがでしたか?デザイン思考は、これからの時代に重要な考え方だということがおわかりいただけたかと思います。デザイン思考を取り入れる際は、アイデアが出しやすい環境を作ること、そして広い分野で革新的な発想ができる人材・体制が整っていることが理想です。ぜひ外部のプロ人材の活用も視野に入れながら、組織の枠にとどまらないデザイン思考実践を目指してみてください!