今回は、営業部門の成果向上を図るための取り組み「セールスイネーブルメント」について取り上げます。アメリカの大企業の多くが導入している取り組みで、日本でも徐々に注目されるようになってきています。本記事では、「セールスイネーブルメント」の定義から、注目されるようになった背景、具体的な導入方法などを丸ごと解説します。ぜひ最後までお読みいただき、営業関連業務や人材育成に活かしてもらえればと思います。営業部門で取り組みたい「セールスイネーブルメント」とは?まず、「セールスイネーブルメント」の定義を確認しておきましょう。セールスイネーブルメントの第一人者である山下貴宏氏の著書『セールスイネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』(かんき出版)によれば、セールスイネーブルメントとは、「成果を出す営業パーソンを輩出し続ける人材育成の仕組み」と定義されています。営業というと、電話等でアポイントを取り、客先で自社の商品・サービス提案を行う部分に焦点を当てやすいと思います。ですが、営業力強化、営業ツール開発、営業プロセス設計・管理など、営業業務の最適化や効率化に繋がる取り組み全体を指します。セールスイネーブルメントの要素を挙げるとすると、セールスコンテンツの標準化顧客の正確な理解による、営業部門の生産性向上採用・マーケティングなど他部門との連携トレーニング、コーチング等がピックアップでき、「人材育成」が根本にあることが伺えます。セールスイネーブルメントが今注目されている背景では、なぜ今「セールスイネーブルメント」が注目されているのでしょうか。大きく分けると3点の背景があると考えられます。【背景1】従来型である対面営業から転換しなければならない特に、コロナ禍に入ってから、日本では働き方が大きく変化し、リモートワーク中心の企業も増えてきました。そのような中では、営業活動自体も変化せざるをえず、対面からオンラインでの営業スタイルへと転換することになっています。結果として、新しい営業スタイルを確立する必要があるのです。【背景2】営業活動が属人的で成果アップの糸口がわからない多くの企業の営業部門では、メンバーの営業活動を可視化できておらず、営業プロセスは個々に任せられている場合がほとんどです。売上目標を達成しているメンバーの営業プロセスから学ぼうと思っても、属人化しており、再現性がないという状況があります。そのため、どのように営業部門全体として成果アップに取り組もうか課題を抱えている場合があるのです。【背景3】複雑で細分化した顧客の需要を明確につかめていない近年、Webマーケティング活動や、CRM・MAといったツールの普及によって、マーケティング部門が獲得する見込み顧客の質と量が格段に向上してきています。ですが、複雑で細分化した顧客の需要をつかみきれず、営業活動に活かしきれていない状況が見られます。営業部門全体として、スキルアップが求められているのです。押さえておきたい!セールスイネーブルメントの実践的な進め方実際にセールスイネーブルメントを導入するにあたり、進め方を押さえておくことが重要です。営業部門だけでなく、様々な部門との協力なしでは実行することができないので、全体像を見ながら、準備を進めていくとよいでしょう。営業データの収集と整備(SFA/CRMツールを活用)兼任または専任部門の設置、人材のアサインプロセス設計育成プログラム開発営業成果の検証・分析経営層へ報告、今後のテーマを検討進めるにあたり、外部のコンサルタントに依頼して主導してもらう場合もありますが、自社で実行していくことも可能です。ただ、社内にナレッジがない場合や、ノウハウを持っている人材が多忙で対応できない場合などは、この分野に長けた外部人材を活用することも有効です。外部のプロ人材に入ってもらうことにより、セールスイネーブルメントの推進だけでなく、周辺領域のナレッジも得ることができるでしょう。プロ人材(外部人材)活用については、無料配布中のプロ人材活用ガイド&事例集にて活用事例や各種事例をまとめていますので、こちらもチェックしてみてください。いかがでしたか?セールスイネーブルメントの実践では人材育成に関連する施策のほか、営業ツールやナレッジの標準化と共有も重要です。セールスイネーブルメントを導入する際には、専門チームや部門を設置して、様々な部署と連携しながら進めていきましょう。専門経験やノウハウを持った人材の力も活かしスムーズに実現されたい場合は、外部のプロ人材に参画してもらうことも検討してみてくださいね。